何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「っ……きっつい……」



冬の寒空の下。
私は走り続けていた。


薄手のワンピースは冷たい風を全て吸収して私へと届けてくれる。
そのせいで寒さが半端ではない。


助かったのは裸足ではない事だ。
屋敷は土足だったからちゃんと靴は履いているし。
でも運悪くヒールを履いていた私はさっきから足を痛めてしまったのだ。


だけど走る事は止めなかった。



「……っ……痛ッ……」



寒いし、足は痛いし、息苦しいし……。


もう立ち止まりたいけど……。
それでも走り続けるのは……。


貴方に会いたいから……。


今すぐにっ……。



涙が出そうになるのを我慢しながら足を進める。



大好きな貴方の元へ……。
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