何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「はぁ……はぁ……」



息切れをしながら辺りを見渡すがそこには誰もいなかった。



「遥斗……」



泣きそうになりながら彼の名前を口に出す。


会いたいよっ……遥斗。
貴方に会いたいっ……。



「泣きそうな顔してんじゃねぇよ」



後ろから強く抱き寄せられたと思ったら……
私が1番聞きたかった声が耳元で囁かれた。



「っ……遥斗……!!」

「ってか寒いだろ?
そんな格好で……ホラこれ着ろよ」



言葉と同時に温もりに包み込まれた。
ふわっと香るスパイシーな匂いは間違いなく遥斗のもので……
私がずっと求めていた香りだ。



「遥斗……会いたかった……」

「……あぁ」

「会いたかったよ……」

「……俺もだ」



遥斗の言葉を聞いた瞬間、私の心で何かが弾けた気がした。
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