何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「遥斗……!!」



クルリと向きを変えて真正面から遥斗に抱き着いた。
逞しい胸板がしっかりと私を抱きしめてくれる。
温かくて心地が良い……。
目を瞑れば今すぐにでも眠ってしまいそうになるくらいだ……。



「今日は随分……素直だな」

「……うるさい」

「なんだ?拗ねたのか?」

「拗ねてないし」



遥斗の背中に腕を回しながら頬を胸板に押し付ける。


遥斗に会ったら、言いたい事が沢山あったのに……
思う様に言葉が出てこない。


ドクンドクンと煩いくらいに心臓は揺れ動くのに、唇は固まったままピクリとも動かない。


でも……。
言わなきゃ……私の気持ちを全部……。
遥斗に言わなきゃ……。



「遥斗……私……」



高鳴る鼓動を押さえながら口を開く。


伝えるんだ。
私の想いを……遥斗に……。
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