何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「好き……大好き!」

「っぷ……さっきまで泣いてたくせに……すげぇイイ顔してる」



意地悪な笑みなのに、凄くキラキラしてて格好良い。
そう思うのは、やっぱり惚れた弱みというやつだろう。


ハァとタメ息をつきながらも私の顔は緩みっぱなしだ。
大好きな人に、好きと言われて嬉しくない訳がない。


両想いってこんなにも嬉しいんだ!
忘れかけていた気持ちを取り戻した気分だ。



「……ん……?」



嬉しすぎて肝心な事を忘れている様な……。



「あっ……」

「ん?どうした?」



一気に幸せ度が消えてなくなっていく。
私どうかしていた、大事な事を忘れるなんて……。


抱き合っていた体を押し返し遥斗の顔を真っ直ぐと見据える。



「あのさ……彼女の事なんだけど……」



内容が内容である為、言葉に詰まっていれば遥斗は眉間にシワを寄せた。



「さっきから気になっていたけどよ……彼女って何の事だよ?」

「何の事って……カオルさんの事!」

「カオル……?
お前……もしかして……」



遥斗が呆れた顔をした時、後ろから大きな声が聞こえてきた。
< 286 / 430 >

この作品をシェア

pagetop