何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「“私なんか”って言うな。
俺はお前だから助けたんだ」



レイヤの低い声が私の胸に突き刺さる。
いつも私を守ってくれた大きな手で私の頭を撫でてくれる。


ジーンと熱くなる目頭を押さえていれば明るい声が私に向けられた。



「梓沙ちゃんとの接点はないけどさ、話は2人から聞いてるよ。
2人の大事な人を俺が助けて何が悪いの?」


ニカッと格好良い笑顔を浮かべるカオルさん。
その顔は男の子の様に逞しかった。



「カオルさん……」



カオルさんの優しさに胸を打たれていれば、徐々に違和感が湧いてくる。



「……俺……?」



聞き間違えかと思った、でもそんな訳ない。
今確かにカオルさんは自分の事を俺って……。
訳が分からず戸惑っていれば遥斗の呆れた声が上から降ってきた。



「カオルは男だ。
女装はしているがそれくらい見抜け!」

「見抜けって……ど……どっからどう見ても綺麗な女性……」



“男”って聞いて、もちろん衝撃はあるけど……。
それよりも安堵の方が大きかった。



「遥斗の彼女じゃなかったんだ……」

「当たり前だろーが」

「俺もハルさんはちょっと……」



うげぇと気持ちが悪そうな顔をする遥斗とわざとらしく両手を上げるカオルさんを見ながら私は笑顔を零す。
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