何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「私は拓哉さんだけを選ぶ事が出来ません。
ごめんなさい、今までたくさんよくしてもらったのに。
沢山愛情をくれたのに……」

『止めろ……帰って来い……梓沙……』



震える彼の声に心が揺らぎそうになる。


でも、もう決めたんだ。
私は自由になるって。


自分が進みたいと思った道を行く。
……自分の足で。



「拓哉さんを愛していました、本当に。
貴方との約束を守れなくて申し訳ないと思っています。
でも……」



ちらっと横を向けば遥斗は不安そうな顔で私を見ていた。
私が拓哉さんの元に戻るのか心配しているのだろうか?
そんな不安なんて持たなくていい。


だって……。



「私が愛したい人はもう貴方じゃないんです」



私が愛したいのは、愛しているのは……。



遥斗だけだから。
だから……。



「さようなら……拓哉さん」

『梓沙……あず……』



さようなら愛した人……。


私は拓哉さんの返事を待たずに電話を切った。


全てが終わったんだ。


私と拓哉さんの物語はココで終わり……。
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