何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「っ……遥斗……」



遥斗を見上げる事なんて慣れているはずなのに……。
今の遥斗は別人のようだった。
妖艶な笑みを浮かべながら私を見下ろす遥斗に胸が苦しくなる。
心臓が壊れてしまうのではないか、そう思うくらいドキドキしている自分がいる。



「可愛い声だな……。
もっと名前呼べよ、お前に名前呼ばれるのは悪くねぇ」



遥斗はそう言いながら私の胸を揉んでいた。
痛いくらいの力なのに、その中には優しさがあって頭がおかしくなりそうだ。



「はるっ……遥斗……」

「あぁ……」

「遥斗……すきだ……」



“好きだよ”


その言葉は遥斗によって呑み込まれる。
重なる唇が言葉を遮っていく。


私たちの間に言葉なんていらない。
まるでそう言っているみたいに……。


遥斗は私の心をいつも見透かしている。
何も言わなくても分かってくれる。



「言葉より態度で示せよ。
死ぬほど感じてろっ……」



遥斗の唇が私の体を這っていく。
首筋も、胸元も、お腹も、太腿も……。
余すところなく犯されていく。


紅く咲いた華は狂気に満ちた愛情ではなくて……。
純粋な愛情に変わっていく……。
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