何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「こんにちは」



扉を開ければ30代くらいの男性が立っていた。
私はソファーへと促した後、お茶の準備をする。


私と入れ替わる様に依頼者の対応をする遥斗。
依頼になると遥斗の顔つきは社長へと変わる。
真剣なその姿を見ながら、お茶を出す。



「あの……」

「はい、なんでしょうか?」



依頼者の方が私の顔を見たまま口をパクパクとしていた。
何かを言おうとして迷っているのが分かる。
何の話かは分からないけど、困っている人を放って置けない。
そう思い依頼者の方の手を両手で握った。



「困っている事があれば何でも言ってください。
貴方の力になりたいんです」



ニコリと笑顔を浮かべれば依頼者さんはギュッと私の手を握り返してくれた。



「貴方に依頼をお願いしたいんです!」

「……は?」

「……はい?」



まさかの展開に遥斗も私も開いた口が塞がらなかった。


何件もの依頼をこなしてきているが……。
直接私を指名してくれるなんて初めての事だったから。
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