何でも屋と偽りのお姫様～真実の愛を教えて～
「……貴方の依頼は、うちのもう1人の従業員が担当しますので……」



遥斗は少し面白くなさそうに私の肩を引く。
そのせいで依頼人と繋がれていた手が自然と離れていく。


出た、遥斗の嫉妬。
そう心で呟きながら苦笑いを浮かべる。
遥斗に嫉妬されるのは嫌じゃない。



「彼女がいいんです！」

「……どうしてそこまでコイツに拘るんですか？」



遥斗の質問に依頼人は力なく笑った。
その笑顔は凄く辛そうで……見ていられないものだった。



「街で彼女の噂を聞いたんです。
自分の事の様に必死で頑張ってくれる姿を見ていると元気になれるって。
彼女の笑顔は皆の心を救ってくれる。
そんな貴方なら……僕の長年の想いを救ってくれるんじゃないかって」



縋る様な目で私を見ると依頼人は勢いよく頭を下げた。



『お願いします』と何度も何度も口に出しながら。



きっと……。
ずっと悩んで、苦しんで……。


最後の願いをココに……何でも屋に託してくれたんだ。



「……分かりました。
私が依頼をお受けします」



私に何が出来るかは分からないけど……。
精一杯やるだけだ。


この人の笑顔が見れるなら……。
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