何でも屋と偽りのお姫様～真実の愛を教えて～
「俺さ……自分がこんなに嫉妬深いなんて初めて知ったよ」

「え……？」

「お前が桐生の事を考えたり他の男に見られたりするだけで……。
スゲェ……ムカつく……」



ギュッと繋がれている手に力が籠められる。
痛いくらいの力なのに、何故か心が満たされていく感じがした。


嫉妬しているのは私だけじゃない。
改めてそれが分かる。



「お前が柊の嫉妬に苦しめられてきた事は分かってんのに……。
自分を抑えられねぇんだよ……」



苦しそうに顔を歪める遥斗を見ていると心が温かくなる。
今までは嫉妬は怖いモノだって思い込んでいた。
拓哉さんの行き過ぎた嫉妬は恐怖でしかなかった。
だけど……遥斗の嫉妬は心地が良い……。


私は歩いていた足を止める。
手を繋いでいた為、自然に遥斗の足も止まった。



「梓沙……？」



不思議そうな顔で私を見る遥斗。
その顔は少し不安そうにも見えた。


そんな不安を吹き飛ばす様に、私は彼の背中に抱き着いた。
街中であるのにもかかわらず……。



「抑えなくていいよ」

「でもよ……」

「遥斗のは優しい嫉妬だもん」

「……何だそれ……」



呆れた様に笑う遥斗の背中に思いっきり顔を押し付ける。
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