何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「ごめんなさい……私が軽率だった」
「……」
「遥斗!!」
遥斗は黙ったまま私の横を通り過ぎ事務所を出て行ってしまう。
バンッと激しく閉まった扉が追いかける事を拒絶しているみたいだった。
遥斗が怒るのは分かるし、心配してくれているって事も分かる。
だけど私がした事はそれ程悪い事なんだろうか?
一刻も早く依頼人を安心させたいっていう想いは遥斗だって一緒のはずだ。
私の気持ちも遥斗なら汲み取っているに違いない。
なのに……。
「五十嵐さんはお前の事を本当に大切に想っている」
静まり返った事務所にレイヤの低い声が落とされた。
レイヤの方を向けば彼独特の無表情で見つめられる。
その顔で怒っている事が分かる私、それは彼との長い付き合いを表していた。
「……だからこそ失うのが怖いんだろう」
「え……」
「依頼に行って、柊家の罠だって分かった瞬間、五十嵐さんは自分よりお前の事を心配していた。
慌てて帰ってみればお前はいなくなっている」
「でも置手紙……」
私は机の上に置いてある紙に目を向ける。
“カオルさんから進藤さんの小学校を教えて貰ったのでちょっと行ってきます”
それは私が2人に向けて書いた手紙だった。
「……」
「遥斗!!」
遥斗は黙ったまま私の横を通り過ぎ事務所を出て行ってしまう。
バンッと激しく閉まった扉が追いかける事を拒絶しているみたいだった。
遥斗が怒るのは分かるし、心配してくれているって事も分かる。
だけど私がした事はそれ程悪い事なんだろうか?
一刻も早く依頼人を安心させたいっていう想いは遥斗だって一緒のはずだ。
私の気持ちも遥斗なら汲み取っているに違いない。
なのに……。
「五十嵐さんはお前の事を本当に大切に想っている」
静まり返った事務所にレイヤの低い声が落とされた。
レイヤの方を向けば彼独特の無表情で見つめられる。
その顔で怒っている事が分かる私、それは彼との長い付き合いを表していた。
「……だからこそ失うのが怖いんだろう」
「え……」
「依頼に行って、柊家の罠だって分かった瞬間、五十嵐さんは自分よりお前の事を心配していた。
慌てて帰ってみればお前はいなくなっている」
「でも置手紙……」
私は机の上に置いてある紙に目を向ける。
“カオルさんから進藤さんの小学校を教えて貰ったのでちょっと行ってきます”
それは私が2人に向けて書いた手紙だった。