何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「お前は馬鹿か。
こんなもので安心できる訳ないだろう。
俺たちに柊家が関わってきたという事は狙いはお前。
このままお前に2度と会えなくなる……それが自分の不注意で招いたせいだったらどうだ?」

「不注意……?」



どうして遥斗の不注意になるのだろうか?
私が勝手に行動しただけなのに……。
不思議に思っていればレイヤは丁寧に話してくれる。



「お前が何でも屋で働く様になってから街で噂が流れ始めた。
……それは知っているな?」



その言葉に片瀬さんが言いていたことが頭を横切る。



『街で彼女の噂を聞いたんです。
自分の事の様に必死で頑張ってくれる姿を見ていると元気になれるって。
彼女の笑顔は皆の心を救ってくれる。
そんな貴方なら……僕の長年の想いを救ってくれるんじゃないかって』



その噂があったからこそ、片瀬さんは私に依頼を任せてくれたんだ。
だから忘れる訳がない。



「うん、それが何……?」

「お前の居場所を隠す為に、何でも屋を別の場所に移動させたり、お前の救出をカオルや俺に任せたんだぞ」



レイヤの言葉に私はハッとした様に顔を上げる。
心臓が止まるかと思うくらいに激しく動き出す。


そうだ、私の噂が街で流れるって事は……。
自分の居場所を自ら曝け出しているって事だ。
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