何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「……遥斗?」



散々泣いて落ち着いた私は家へと戻った。
家の中は真っ暗だったけど靴はあったから遥斗は中にいるはず。


謝って、仲直りがしたい。
その一心で遥斗を探すが何処にもいなかった。


残るは寝室だけ。


寝室の扉をゆっくり開けば苦しそうな声が聞こえてくる。




「……あず……さ……くじょ……う……」



遥斗が苦しそうに呼ぶのは私と九条さんの名前だった。


それを聞いた瞬間、自分を呪いたくなった。


只でさえ苦しんでいるのに、遥斗をこれ以上追いつめてどうするのよ。
ぶつけ所がない怒りを拳に籠めて思いっきり太腿を叩く。


パチンっと電気をつけてベッドで蹲りながら寝ている遥斗に抱き着いた。


ごめんね、遥斗。
私……分かってなかったよ。


貴方の苦しみ何てこれっぽちも分かっていなかった。
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