何でも屋と偽りのお姫様～真実の愛を教えて～

「梓沙……？」

「ごめんね遥斗……私……」

「っ……無事でよかった……お前が無事で……本当に良かった……」



眠りから目覚めた遥斗は私を見るなり、驚いた顔をしていた。
でもすぐに私の体を抱きしめ返してくれる。
震える声で何度も何度も私の名前を呼びながら。



「遥斗、大丈夫だから。
貴方はもう苦しまなくていい」

「……梓沙……？」

「大丈夫、大丈夫」



私は今まで遥斗に助けられてばかりだった。
遥斗の優しさにいつも守られていた。


だから……。
今度は私が助ける番だ。


遥斗を哀しみという鎖から解き放つには……。
九条さんの事をちゃんと解決しないとダメだ。


今日で分かったもん。


遥斗は依頼をこなす度に……
自分を傷つけていたんだって。


私が依頼を解決しても喜べなかったのは遥斗が苦しんでいたからだ。


遥斗は九条さんの事がある限り……
心の底から笑う事は出来ない……。


だったら私が貴方を笑わせてあげる。



遥斗を抱きしめながら強く強く決意した。