何でも屋と偽りのお姫様～真実の愛を教えて～
暫く目を閉じていれば静かな空間を切り裂く様に大声が響き渡った。



「梓沙！！」



その声に私はゆっくりと目を開く。
そして笑顔を浮かべた。



「遥斗、待ってたよ」



私の視線の先には額に汗を受かべながら息を切らす遥斗がいた。
視線で“ココに座って”と言えば、遥斗は渋々ながらも私の向かいの席に座ってくれる。
そして大声で怒鳴られる。



「お前は何を考えてるんだよ！！
1人で出歩くんじゃねぇよ！！」

「……ごめん」



怒られることを覚悟していた私は素直に謝る。
遥斗が私を心配して怒ってくれている事は分かっているから。
あまりにも私が素直だからか遥斗は驚いた様に目を見開くが、すぐに不機嫌そうな顔つきに戻る。



「それに何でこんな所に……」



遥斗は口ではそう言いながらも、私が言おうとしている事は分かっているみたいだ。


遥斗は頭がキレるからここに来た時点で全てを察しているかもしれない。
でも私はお構いなしに話し出す。


貴方にとっては聞きたくないかもしれないけど……。
これは乗り越えなきゃいけないと思うから。
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