何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「遥斗が九条さんに直接聞くべきことだと思う」

「っ……」

「もう逃げるのは止めよう?」



机にのっていた遥斗の手を両手で握りしめる。
私の気持ちが全て遥斗に伝わる様に……。



「逃げる……?」

「うん。
遥斗は自分が九条さんの事を支えられなかったから後悔しているんだよね?」

「……あぁ」



頷く遥斗を見て私は笑顔を作る。



「だったら……。
今からでも遅くないはずだよ。
九条さんは……まだ悩んでいるの。
暗い闇の中で身動き1つ取れずにもがいているの。
ずっと……遥斗を……待ってるんだよ!!」



お腹から声を出して、真っ直ぐに遥斗を見つめた。



「もう……自分を楽にしてあげて……。
そして……彼を救ってあげて……」



ぎゅっと、手に力を入れれば……
遥斗はそれに反応した様に私を見つめた。
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