何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
翌日


目を覚ませば私は絶望に陥っていた。
昨日の事は夢ではなかったのか、何度も何度も目を瞑っては開きの繰り返し。
それでも夢から目覚める事はなかった。


あぁ、現実だ。
私はまた戻ってきたんだ。
拓哉さんの隣に……。



私の隣で小さく寝息をたてる拓哉さんの顔は、本当に幸せそうで……
見ていて泣きたくなる。


その時


病室の扉が前触れなく開いた。


驚いていれば、そこには冷たい顔をしたお義母様が立っていた。
お義母様は寝ている拓哉さんを一瞥した後、すぐに私を見据えた。



「貴方のせいでこの子はこんな目に合ったのよ」

「……え……」

「この子はね……貴方を探しに出て車に轢かれたの。
貴方がいなくなってから、寝る暇も惜しんで……ずっと探し回って……」



お義母様の目は相変わらず冷たくて、身震いを起こす様なものだった。
でも、その言葉は私の胸を鋭く突き刺した。
私のせいで拓哉さんが……。
キリキリと締め付けられる胸に容赦なく次の言葉が降りかかる。



「しかも……轢いた人間は誰だと思う?
この子の会社の社員なのよ」

「えっ……」

「社員は逮捕されたわ。
でも気の毒よね、自分の社員に轢かれたなんて」



お義母様は鼻で笑いながらそう言い放った。
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