何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
気が付けば私は肩を震わせながら泣いていた。



「拓哉さんっ……」

「……ん……梓沙……?」



私の声に反応する様に拓哉さんの目はゆっくりと開かれた。
私を見た瞬間、彼の目は優しく垂れ下がる。



「良かった……。
夢じゃなかったんだな……」



そう言って愛おしそうに私を抱きしめる。
何度も何度も私の顔を見ながら力強く……。



「梓沙、愛してる」



彼の愛の言葉は
私の胸へと深く突き刺さっていく。


重くて冷たい鎖へとなって……
私の体を縛り付ける。


それでも私は貴方に言わなければいけない。



「私も愛しています」



これから何回、何十回、何百回。
私は嘘をついていくのだろうか……。
< 372 / 430 >

この作品をシェア

pagetop