何でも屋と偽りのお姫様～真実の愛を教えて～

「元気だったか？」

「……うん、遥斗は？」

「俺は……」



遥斗は言葉を濁らせると、真っ直ぐにに私を見た。


力強くて、優しいその瞳で見つめられると……
私の心臓は馬鹿みたいに激しく揺れ動く。


私の心が、遥斗の事を求めている。
今すぐ彼の元へ駆け寄って“大好きだよ”と自分の気持ちを伝えたい。


嘘偽りない……私の本当の気持ちを伝えたい。
でも……それはもう……叶わないから……。



「ねぇ遥斗……私ね……」



言わなきゃいけない。
大好きな貴方へ別れの言葉を……。


その為に遥斗を呼び出したのに。
私の口は震えたまま動く事はなかった。


言いたくない、言いたくないよ……。
じわりと熱くなる瞳が胸の奥を熱くする。



意を決して口を開きかけた時
遥斗の明るい声が聞こえてきた。



「あーあ……。
何で分かっちまうんだろーな」



遥斗は笑っていたけど、その笑顔は痛々しかった。
無理して明るく振る舞っている事なんて、一目で分かる。


それなのに遥斗は明るく振る舞っていた。