何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「お義兄さん……もう苦しまなくていいんですよ。
貴方も遥斗も苦しむ必要なんかない……」
2人はお互いの事を本当に大切に想っている。
なのに……これ以上、傷つけあうなんて馬鹿みたいだよ。
私はお義兄さんの手からチェスの駒を抜き取り、そっと裏を向ける。
そこには黒いペンでこう書かれていた。
「“次こそ絶対に負けない”。
これは貴方が遥斗へと宛てたメッセージですよね?」
「……あぁ……。
卒業の前にお互いの駒を交換し合ったんだ」
そう言って力なく微笑むお義兄さん。
私は再び彼の手に駒をのせると口角を限界まで引き上げた。
「この駒と、お義兄さんの机の上に置いてある黒い駒を持って……。
今度は貴方が遥斗に言ってあげてください。
『一緒にやろうぜ』って。
遥斗が初めて貴方に話しかけた時みたいに……」
私の言葉を聞いたお義兄さんはゆっくりと私の顔を見た。
紅く染まった目で見据えられると少し気持ちが揺らいでしまう。
彼の背中を押す事が出来るのはきっと私だけ。
だから……最後まで私の役目を果たそう。
貴方も遥斗も苦しむ必要なんかない……」
2人はお互いの事を本当に大切に想っている。
なのに……これ以上、傷つけあうなんて馬鹿みたいだよ。
私はお義兄さんの手からチェスの駒を抜き取り、そっと裏を向ける。
そこには黒いペンでこう書かれていた。
「“次こそ絶対に負けない”。
これは貴方が遥斗へと宛てたメッセージですよね?」
「……あぁ……。
卒業の前にお互いの駒を交換し合ったんだ」
そう言って力なく微笑むお義兄さん。
私は再び彼の手に駒をのせると口角を限界まで引き上げた。
「この駒と、お義兄さんの机の上に置いてある黒い駒を持って……。
今度は貴方が遥斗に言ってあげてください。
『一緒にやろうぜ』って。
遥斗が初めて貴方に話しかけた時みたいに……」
私の言葉を聞いたお義兄さんはゆっくりと私の顔を見た。
紅く染まった目で見据えられると少し気持ちが揺らいでしまう。
彼の背中を押す事が出来るのはきっと私だけ。
だから……最後まで私の役目を果たそう。