何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「すまない。
こんなに近くにいるのに……。
俺にはお前が遠く見えるんだ」



拓哉さんの言葉に思わず声が漏れそうになる。


拓哉さんはなんとなく気付いているんだ。
私の心が自分にはないという事を。


だけど認めてしまえば、何もかもが崩れ落ちてしまうから。
だから彼は私を縛るんだ。



「愛してる……愛してる……」



苦しいほどの愛で。



「拓哉さん……」



ごめんなさい、心でそう呟けば私の胸は苦しくなる。


貴方に囁く愛は全て偽りの物だ。


私が愛したいのは貴方じゃない。


そう分かっているのに……。
私は貴方に何度だって囁き続ける。



「愛してます」



感情が籠っていない愛を貴方へと捧げる。
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