何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
カオルさんと別れた私を迎えに来てくれたお義兄さん。


車の中で私は彼に頭を下げた。



「お義兄さん……ありがとうございます……。
本当に……貴方のお蔭で素敵な時間を過ごせました」



お義兄さんが協力してくれなかったら……
私は両親や友達に会う事は出来なかっただろう。



「……いや……俺は何も……」



お義兄さんは気まずそうに私から顔を逸らす。
その顔には罪悪感が募っていた。



「……ねぇ梓沙ちゃん。
キミが望むなら、俺が拓哉を説得するよ。
キミが拓哉から離れられる様に……」

「……何を言ってるんですか」



冗談で言ってるんじゃない、そんな事は分かっていた。
でも、私は首を横に振る。


今、私が拓哉さんから離れても……
結局、ふりだしに戻るだけだ。


また哀しい想いをするくらいなら……。



「私は拓哉さんと一緒に生きるって決めたんです」



私を1番に必要としてくれる人の為に生きるだけだ。
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