何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「梓沙」

「は……はい!」



今は仕事中だった、しっかりしないと。
そう思い拓哉さんの方を向く。



「え……」

「どうした?」

「い……いえ」



何だろう……。
拓哉さんの顔が凄く哀しそうに見えた。
嫌な胸騒ぎの中、拓哉さんは私に向かって1枚の紙を差し出した。



「……今からこの場所に行って欲しい」

「え?
だって今から会議……」

「それは俺1人で行く」



こんな事を言われるのは初めてだった。
戸惑いを隠せないでいれば、ふいに私の体は引っ張られる。
そして、車椅子に座る彼に覆いかぶさる様な体勢になってしまった。



「あの……」

「……」



拓哉さんは黙ったまま私を抱きしめていた。
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