何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「梓沙……愛してる」

「拓哉さん……」



彼の愛してるの言葉は、数え切れないくらいに聞いてきたはずだ。


でも……。
初めてだ……。


こんなに哀しい気持ちになるのは……。



「……これはお前にしか任せられない仕事だ。
……行ってくれるな?」

「……はい」



私の体を離すと、拓哉さんは柔らかく微笑んだ。



「戻ってきたら……結婚しよう」

「えっ……」



“結婚”


その言葉に私は目を見開く。
そんな私を見ながら拓哉さんは『っぷ』と吹きだす。


何年も付き合って来て……。
初めて見たかもしれない。


拓哉さんが可笑しそうに笑う所を……。
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