何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「うぅ……何が結婚しようよ……」

「け……結婚!?」

「出掛ける前に言われたのよ。
『戻ってきたら結婚しよう』って」




私と遥斗のヨリを戻す事が目的なら……
あんな事言わなくたって良かったじゃない……。


辛そうな顔をしてまで……
どうして……。


涙でいっぱいになった目を擦りながら考えても
私には理解できなかった。


でも遥斗は彼の気持ちが分かったみたいだ。



「……もしかしたら……
最後の賭けだったのかもな」

「さ……最後の賭け?」



鼻を啜りながら言えば、遥斗は哀しそうに呟いた。



「お前を自由にしたうえで……
自分を選んでくれるなら……その時は結婚しようって事なんじゃねぇか?」

「っ……何よ……」



いつも私の意見なんて聞かなかったくせに……。
何で最後だけ……私に選択肢を丸投げするのよ!!



「遥斗……行くよっ!!」



私は涙を手で拭い走り出す。



「はぁ!?
行くって何処に……!?」

「決まってるじゃない!!
この世で1番……馬鹿な人の所に」



私が笑えば、遥斗もタメ息交じりに笑う。



「ったく……。
仕方がねぇな……行くぞ!」

「あっ……うん!」



遥斗は走って来ると私の手を掴んだ。

もう繋がる事がないと思った私たちの手が……。

再び強く繋がった。
< 411 / 430 >

この作品をシェア

pagetop