何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「拓哉さんの事、怖いって思った時もあったけど……。
大好きだから……全部受け止めようって思ってました!!」

「……」

「でも……遥斗と出逢って私は……」



チラッと遥斗を見れば真剣な目で私と拓哉さんを見ていた。
ふと視線が交じり合うと、優しく微笑んでくれる。
そんな遥斗に背中を押される様に私は話し出した。



「遥斗を好きになった!
彼の様に真っ直ぐに、自由に生きたいって思う様になったんです!!
だから……私は……もう貴方の傍にいる事が出来ません!!」

「……」



拓哉さんは私の言葉を聞くと車椅子で移動し始めてしまう。
そんな後姿を見ながら大声を出す。



「でもこれだけは言っときます!
私は、どうでもいい人間の為に人生を棒に振るったりしない!
拓哉さんだったから……今までずっと傍にいたんです!!」

「……」




ピクリと拓哉さんの肩が震えた。
それと同時に車椅子は止まる。



「これから先ずっと……拓哉さんは私にとって世界で1番大切な人です!!」



どんな人と出逢おうとも……この事だけは変わらない。


拓哉さん、私は……。



「貴方に出逢えて……本当に良かった!!」



涙で前が霞んで見える。
拓哉さんの背中もぼやけていく……。
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