何でも屋と偽りのお姫様～真実の愛を教えて～

「戻ってくるのが遅い」

「……ごめん」

「心配かけるな」

「……ごめん」



ぎゅっと抱きしめられたまま私は目を閉じる。
レイヤの温もりに包まれながら、戻ってきたのだと実感する。



「……お帰り、梓沙」

「れ……レイヤ……」



レイヤは私を離すと僅かに口角を上げてそう言った。

それに続きカオルさんも満面な笑みを浮かべる。



「お帰り梓沙ちゃん！」



再び抱きしめられるがすぐにレイヤによって引き離される。
そんな光景を見ながら笑顔を浮かべればゴホンと咳払いが聞こえてくる。



「……」



そっちに顔を向ければ不機嫌そうな顔の遥斗が目に入る。



「お前ら人の女にベタベタと触ってんじゃねぇよ！」



遥斗は私を抱き寄せると、2人を睨みつけた。
彼の嫉妬もどうやら健在のようだ。