何でも屋と偽りのお姫様～真実の愛を教えて～

「いきなり抱き着くんじゃねぇよ！危ねぇだろーが！！」

「ごめん、ごめん！」

「ってか、ソイツ等にまで抱き着くな！！」



遥斗は怒りながら私の腕を引っ張ると自分の隣へと私を立たせた。
ちゃっかり、私の肩を抱きながら。



「ハルさんってば調子がいいんだから……。
って言うか……梓沙ちゃん泣きそうになってない！？」

「か……カオルさん！
そういう事は気が付いても黙っててください！！」



カオルさんの言葉に遥斗もレイヤも私の顔を覗きこんできた。
恥ずかしくなり顔を背ければ、ポンと優しく頭の上に手がのった。
上を見上げれば、私の肩を抱いていた手で頭を撫でてくれる遥斗と目が合う。



「泣けばいいじゃねぇか。
嬉しい時には泣いたっていいんだぜ？」



優しい声に、我慢していた涙が零れ落ちる。
声を押し殺して泣く私を優しく見守る様に3人は笑顔を浮かべた。