何でも屋と偽りのお姫様～真実の愛を教えて～

彼が言いたい事は分かる。


“これを婚約者や柊家に聞かせたくなければ俺の言う通りにしろ”と言う事だろう。



「そうそう……。
忘れる所だったが……」



そう言いながら五十嵐さんは何枚かの紙が束ねられた資料を私へと差し出す。


なんだろう。
嫌な予感しかしないのは確かだが。


念の為に資料に目を通す。



「って……何これ！？
私の個人情報じゃない！！」



その資料には事細かく私の事が書き記されていた。

どうやって調べたんだレベルの物まで。



「俺に調べられない事はねぇ。
この手の情報は柊家にはないはずだぜ」



そう言って指したのは……。



「ファーストキスの相手！？
何でこんなものまで……！？」

「あの異常な程の嫉妬魔がこれを知ったらどうなるんだろうな？
過去の事とはいえ……許してもらえねぇだろうな～」



ニヤつく五十嵐さんには腹が立つが……。

その言葉には同意せざる得ない。
拓哉さんに過去の話とか通じない。


過去だろうが今だろうが関係なく嫉妬の嵐だ。


しかもこの類の情報が他にもたくさんある。


こんなものを見せられる訳がない。