何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
……って言うか。
冷静に考えてみれば……。



「貴方と偽装恋人をするにしてもリスクしかないじゃない!!」



バレタ時の事を考えるだけで寒気がする……。



「こんな物……」



怒り任せにビリビリと資料を破る。
でも、恐らく……。



「破ったって無駄だ」



そう言いながら私の目の前でユラユラと別の資料を揺らす五十嵐さん。


想定はしていた。
資料は勿論、データーも残っているだろう。


だからどんなに破いたって無駄。


悔しくて顔を歪めれば五十嵐さんは不敵な笑みを私に向けた。



「俺の事をいい人間だとでも思ってたか?
だったらとんだ勘違いだ、俺は極悪人だぜ?
欲しいモノは……どんな手を使っても手に入れる」



その笑顔はどこまでも黒くて怪しいのに私の鼓動が高鳴るのが分かった。


ジタバタしても仕方がないみたいね。
ハァッとタメ息をつきながら私はある決心をする。



「……もう……。
貴方には敵わないみたい。
降参です、偽装恋人だろうが依頼だろうが……。
やってやろうじゃない!!」



挑発する様に私は五十嵐さんを見る。

こうなったらヤケクソだ。


拓哉さん、ごめんなさい。
決して浮気ではないですが……。


この訳の分からない偽装恋人と言う名の勝負にのってしまいました。


彼に謝りながら私は心に誓った。


決して……拓哉さんにはこのことはバレテはイケナイと。
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