何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
最初は猛反対をされ無理やり別れさせられそうにもなった。


しかし、拓哉さんが私と結婚できなければ親子の縁を切るとまで言ってくれたのだ。
体裁を気にしてか渋々と私たちの事を認めてくれた。


その代わりに出されたのが……。
私の人間関係を断ち切る事だった。


両親とも友人とも、私が出逢ってきた全ての人と会う事を禁じられ、柊家に相応しい人間としか関わる事が許されなくなった。


今の会社だってそうだ。
本当は働く事も禁じられていたが、拓哉さんが私の意思を尊重してくれたお蔭で働くことが出来た。
でも……働く場所も決められて、住む場所だって無理やり柊家へと移された。


全ての自由を奪われて、彼に尽くす人生が……。


一生続くのかと思うと怖くなる時もある。
このままでいいのかって悩む時もある。


でも私が拓哉さんを想う気持ちに嘘はない。


嘘はないけど……。


時々思う事がある。


大空を自由に飛び回る鳥が羨ましいと。


自分の意志で動けて、自分の想いを貫ける人が……。
凄く輝いていると……。


私は操り人形なんかじゃないと。


私には必要のない感情が……。
醜く取り巻いてくるのだ。
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