何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「嘘でしょ!?
私より12歳も年上なの!?」



ありえない、目を大きく開きながら遥斗を見る。

年上だとは分かっていたけど……
まさかここまで離れているとは……。


遥斗って童顔ってやつ……?



「お前は俺をいくつだと思ってたんだよ」

「28くらい?」

「20代!嬉しいね~」



機嫌を良くしたように遥斗は鼻歌を歌っていた。

選曲が少し古くて時代を感じる。

どうやら36というのに嘘はないらしい。



「……年齢なんて別に誤魔化せるでしょ?
どうせ偽名も使うんだからさ……。
遥斗なら20代前半でも通じるって」



なんとかして私のホスト行きを阻止しなければ。
そう決意をしながら遥斗を見ていれば急に彼が視界から消える。


それと同時に



『……私だって同じです。
こういうの嫌いなんです。
いくら着飾っても私自身は消せない。
自分らしくないと分かっているのにそれに逆らえず染まろうとする。
馬鹿みたい……』



ボイスレコーダーから私の声が流れる。

これを引き合いに出されたら逆らえる訳ないじゃない。

卑怯者、そう念を込めて遥斗を睨む。



「さて、行くぞ」

「……分かったわよ」


全く気にすることなく悪魔の笑みを浮かべた遥斗に腕を引っ張られて私は地獄へと導かれていくのであった。
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