何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「……開店まではまだ時間があるな。
よっし、デートするぞ」

「で……デート!?」



遥斗の提案に驚かずにはいられなかった。


なぜデート……?
疑問に思いつつ手を引かれるがままに私は遥斗の後へと続いた。




「……ねぇ……」

「何だよ」



私はタメ息交じりに遥斗の方を向く。

遥斗はというと真剣な目つきで私の体全体を見ていた。

体、というより服を見ているのだが……。


かれこれ1時間近くこんな様な状態が続いていた。


とあるブティックの試着室で何着もの服を着させられている私。



「もう疲れたんだけど……」



何の為にこんな事をしているのかも分からず、すっかりと飽きた私は大きくアクビをした。

そんな私をもの珍しそうに見る遥斗。



「お前ってやっぱり変わってるな。
普通はもっと楽しそうにするだろ、女は服が好きなんだろ?」



何だその自論は。
女性がみんな服が好きだとは思わないで欲しいものだ。



「私は服なんて興味ないもん。
退屈なだけ……」

「……お前、女友達いたか?」

「い……いたわよ……失礼ね!!」



遥斗は憐れな子を見る様な目で私を見てきた。


いたよ、友達くらい。


でも……。
もう……過去形だけどね。


柊家に関わってから……今までの人間関係を断ち切った私には……。
もう友達と呼べる人なんていない。
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