何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「じゃあ頼んだぞ」

「うん」



あれから私たちは何事もなかったかの様に接していた。
さっき感じた冷たい目を感じる事もない。
至って普通に“デート”をし、今はホストクラブの近くへといた。


遥斗に見送られ私はホストクラブへと足を運ぶ。



「……」



近付くにつれて緊張が高まっていく。



「あっ……お姉さん超可愛いじゃん!
その服セクシーだね~」

「……ありがとうございます」



ホストらしき人に褒められ私は笑顔を浮かべる。


遥斗の作戦が効いたみたいだ。


私たちがブティックに行った理由はデートなんかではなかった。
このホストクラブに来ていく服を買う為。


遥斗曰く……。


セクシーな服の方がホストが好むらしい。


私の今回の潜入の目的は、依頼者が好きなホストとの接触。


それと……。
話しが聞きやすくなる様になるべく多くのホストと仲良くなる事だ。



「あの……お邪魔してもよろしいですか?」

「お姉さんみたいな可愛い子なら大歓迎だよ!」

「うっ……」



気を良くしたホストが私の肩に手を回してきた。

思わず心の声を漏らせばホストは不思議そうに私を見ていた。



「どうしたの?」

「い……いえ……何も!!」



触られた事に嫌悪感を持ちながらも無理やり笑顔を浮かべる。

こんな事で腹を立ててたら仕事にならない。


ホストから見えない様にギュッと拳を握りしめて気合いを入れた。
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