何でも屋と偽りのお姫様～真実の愛を教えて～
桐生 零夜（きりゅう れいや）24歳。


私の幼馴染だ。


もう何年も会っていなかったけど……。
いや、会う事を禁じられてたと言った方が正しいか。


久しぶりに会えたと言うのに私たちの間には不穏な空気が流れていた。



それもそのはず。
だって私は……レイヤに何も言わずに姿を消したから。


いつも優しくて……私の事を大切にしてくれていたレイヤを裏切る様に……。
一生、彼と会わないという契約を柊家と交わしてしまった。


レイヤとだけじゃない。
私の家族とも他の友達とも……。


拓哉さんと結ばれるために私は沢山の人を裏切ったのだ。



「どうしてお前がココにいる」

「えっと……」



何て言おうか、そう思っていれば私の言葉を遮る様にレイヤは口を開く。



「そんな事はどうでもいい」

「え？」



怒った様に私の両肩を掴むレイヤ。



「痛ッ……」



ギリギリと骨が軋むような音が聞こえてきそうだ。
それくらい、レイヤが怒っているというのが分かる。


痛みに顔を歪めながらも私はレイヤを見続けた。


だって、彼の顔が凄く哀しそうで目を逸らしたらどこかに行ってしまいそうで凄く怖かったから。



「どうして消えた……？
何でいきなり俺の前から消えたんだ……？」



怒りを押し殺したような声にズキリと胸が痛んのが分かった。
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