何でも屋と偽りのお姫様~真実の愛を教えて~
「レイヤ……私は……」

「もう……どこにも行くな……」

「っ……!?」



レイヤの瞳が不安げに揺れる。

会わない間に大人びた顔立ちに緊張しつつも、私の幼馴染であったあの時と変わらない性格に今までの緊張の糸が緩んでいく。



「レイヤ……会いたかった、会いたかったよ……」



何度も何度も『会いたかった』と素直に伝える。


自分から突き放したくせに、裏切ったくせに
私は彼と会いたくて仕方がなかったのだと今、漸く実感した。



「それは俺の台詞だ。
梓沙……会いたかった……」



言葉と一緒に私の体はレイヤの胸へと引き寄せられる。


高校生の時より逞しくなった胸板に私は顔を押し付ける。
今までの空白の時間を埋めるかのように私たちは黙ったまま抱き合っていた。


私間違っていた。


いくら拓哉さんが好きだからと言って、誰かを裏切るのは違う。
これからもレイヤとこうして一緒に同じ時間を過ごしたいし家族や友達とだって会いたいよ……。


ちゃんと向き合わなきゃ……。


拓哉さんとも柊家とも……。


レイヤとも。


そう思いレイヤの胸の中で彼を見上げる様に顔を向ける。
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