百人一首いまむかし 〜二の巻〜
「はぁぁぁぁー。」
一人の部屋に響くため息。
ベッドに寝転び、シャンデリアのさがった天井を見上げる。
コンコン
「ゆりあ様。入ってもよろしいでしょうか?」
「えぇ、いいわよ。」
入ってきたメイドさんが腕にかかえているドレスをみて、さらにため息がこぼれる。
「…もう少し地味なのはなかったの?」
「申し訳ございません。
旦那様がこれにしろと。」
「はぁ…」
彼女が腕にかかえているのはとてもきらびやかなもの。
大きくあいた胸元に贅沢な宝石をあしらったスカート。
贅沢の好きな父がいかにも好みそうなデザイン。
この部屋だってそう。
普通高校生の部屋にシャンデリアなんてある?
「では、支度をいたしましょう。」