百人一首いまむかし 〜二の巻〜
きつ苦しいドレスをぬいで夜服に着替え、ベッドにダイブする。
コツン。
「…え?」
窓に何かがぶつかった。
幼い頃の彼が、遊ぼうと誘いに来た時の合図。
期待に胸を弾ませ、窓辺に駆け寄る。
バルコニーへ出ると人影が。
「セナ…?
…セナなのね!?」
私が声をかけると、さっと走り去る。
月の光に照らされる後ろ姿に、彼だと確信する。
「待って…行かないで!」
私が止めるのもむなしく走り去ってしまう。