男の秘密
拾い物は何?
それは、ある金曜の夜の出来事だった。
優は仕事帰りに、駅から自分の部屋に戻る暗い夜道を少し早足で帰っていた。
季節は春、しかし最近は気温の変化が大きく、昨日までの暖かな小春日和とは打って変わって今日はかなり冷え込んでいる。
『朝は支度に追われていたから、暑いくらいだったのに・・・』
TVを見ない優はこの日、薄手のコートを選択した事を後悔していた。
『早く帰ってお風呂に入りたいなぁ』
そんな事を考えながら空き地に差し掛かる。
この空き地、家に戻るには近くて便利なのだが、夜は人気が無い分、女性の優が通るのには勇気がいる。
『怖いけど、寒くて遠回りしたくないなぁ』
駅を降りてから風が更に強くなり、寒さが一段と身にしみる。
迷いに迷ったが、近道の誘惑に勝てず空き地を通り抜ける事にした。
空き地を進むと、暗さが更に強くなった。
『やっぱり戻った方がいいかな』
心細さから来た道を引き返そうかと逡巡していると、少し先の塀に何かがもたれ掛っている。
『なんだろう・・・怖い』
踵を返してもと来た道へ戻ろうとした時、もたれ掛かっていたものが崩れた。
壁にそって優の方に崩れてくるそれが人だと分かり、慌てて駆け寄る。
ゆっくりと、体が壁を伝って倒れていく。
必死に近づいて手を伸ばしたが思った以上に背が高い。
体の下に滑り込んで抱きとめようと試みたが、重みで支えきれず自分も尻餅をついた。
「いたたぁ・・」
痛さに声をだしてしまう。
押し倒されるような形になったが相手の様子を確認する。
暗がりでよく分からないが、肩幅が広く胸板も厚い。
若い男性のようだ。
優は仕事帰りに、駅から自分の部屋に戻る暗い夜道を少し早足で帰っていた。
季節は春、しかし最近は気温の変化が大きく、昨日までの暖かな小春日和とは打って変わって今日はかなり冷え込んでいる。
『朝は支度に追われていたから、暑いくらいだったのに・・・』
TVを見ない優はこの日、薄手のコートを選択した事を後悔していた。
『早く帰ってお風呂に入りたいなぁ』
そんな事を考えながら空き地に差し掛かる。
この空き地、家に戻るには近くて便利なのだが、夜は人気が無い分、女性の優が通るのには勇気がいる。
『怖いけど、寒くて遠回りしたくないなぁ』
駅を降りてから風が更に強くなり、寒さが一段と身にしみる。
迷いに迷ったが、近道の誘惑に勝てず空き地を通り抜ける事にした。
空き地を進むと、暗さが更に強くなった。
『やっぱり戻った方がいいかな』
心細さから来た道を引き返そうかと逡巡していると、少し先の塀に何かがもたれ掛っている。
『なんだろう・・・怖い』
踵を返してもと来た道へ戻ろうとした時、もたれ掛かっていたものが崩れた。
壁にそって優の方に崩れてくるそれが人だと分かり、慌てて駆け寄る。
ゆっくりと、体が壁を伝って倒れていく。
必死に近づいて手を伸ばしたが思った以上に背が高い。
体の下に滑り込んで抱きとめようと試みたが、重みで支えきれず自分も尻餅をついた。
「いたたぁ・・」
痛さに声をだしてしまう。
押し倒されるような形になったが相手の様子を確認する。
暗がりでよく分からないが、肩幅が広く胸板も厚い。
若い男性のようだ。
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