男の秘密
「「え?!」」

加藤と忍が同時に驚いた。

「だって、まだ本人に言ってないのに、先に加藤君に言えないわ。だからまた明日ちゃんと報告するね」

眩しいくらいの笑顔で加藤に答えて、そのまま「さよなら」を言って忍に向き直る。

「お待たせしました。あの、お話したい事があるんですが、お時間大丈夫ですか?」

忍の反応が無いので、心配そうに覗き込むと、我に返った忍の顔が見えた。

「来て」

グイっと手を引かれ連れて行かれるが、歩くのが早くて小走りになる。

『何時もは私に合わせてくれていたの?』

先を歩く忍の顔を見たいが、顔を見る余裕も無く、ただ転ばないように付いて行くだけで精一杯だった。

「おい!何処に行くつもりだ。」

後方から低い男性の鋭い声が聞こえた。

「!?」

その声に忍が立ち止まり、優はその背中にぶつかった。

「ご、ごめんなさい」

慌てて見上げると忍は振り返って、男性の方を見ていた。

優も男性を見る。
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