男の秘密
「で、でも、羽奈にもし、忍さんが、女の人と二人きりで出かけたらどう思うって言われて・・・・。
今までそんな事考えた事無かったんですけど、その時初めて考えたんです」

溜まった涙があふれ出したのと同時に、自分の気持ちもあふれ出す。

気持ちが高ぶり、思わず忍の服を掴んでいた。

「そしたら・・嫌だったんです!私じゃない誰かが、忍さんの横に居るって考えただけで、嫌だったんです。
それで、自分の気持ちに気づいたんです。私、忍さんの事が恋人として好きだって!
今更ですが・・・まだ間に合いますか?」

潤んだ瞳で忍を見上げながら返事を待つ。

不安で胸が押しつぶされそうで掴んでいた手が震える。

返事を待つ時間が途轍もなく長く感じる。

それは多分ほんの数秒だった筈。

忍が驚いた顔をして、顔を歪めたのを見た瞬間心臓が止まりそうになった。

『あぁ、遅かったんだ』

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