男の秘密
どの位抱き合っていたのだろうか。

優の気持ちが落ち着いてきて、抱きしめられる事が恥ずかしくなって来た。

「あ、あの。忍さん。腕を放して下さい」

自分の腕を解き、忍に話しかけたが反応が無い。

「忍さん・・・・！？」

返事が無い事を不振に思い、忍の体を離そうとすると、忍が倒れこんで来た。

押し倒される形でソファーに倒れた優は、慌てて忍の下から抜け出そうともがく。

返事の無い忍は体の反応も無い。

「忍さん？」

不思議に思い忍の顔を覗き込むと、目を閉じている。

規則正しい息を繰り返している所を見ると、眠っているようだ。

『ここ2、3日殆ど寝てないから』

と言う木戸の言葉を思い出した。

優の告白にホッとして、眠気が勝ったのだろう。

眠っている忍を見て口元が緩む。



しかし、ホッとしたのも束の間、今置かれている状況を思い出した。

『どうしよう・・。こんな状態が続いたら、心臓が壊れてしまうわ』

先ほど抜け出そうとしたお陰で、忍の体の下からは出られたが、しっかりと抱き閉められている腕からは逃れる事が出来なかった。
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