男の秘密
そのせいで、優の鼻先が触れそうな程近くに忍の顔がある。

先ほど収まった筈の心臓も、早鐘のように鳴り出した。

『それに、こんな状態で眠ったら、忍さん風邪をひいてしまうわ』

何とか、忍を起こさずに忍の腕から逃れて、何かかける物を取りに行こうと身じろぎをした。

「!?」

少し距離が離れたと思った瞬間、無意識の行動で抱きなおされてしまい、今度は胸に顔を埋めてぴったりと引っ付いてしまった。

恋愛経験の無い優、ましてや小学校の時両親を亡くしてから、男性とこんなに近づいた事が無いので既に頭はパニックを起こしていた。

しかし、ドキドキで死んでしまうんじゃないかと思っているうちに、いつの間にか気を失ってしまった。
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