男の秘密
「それで、どうなの？」

いきなりの言葉に始めはピンとこなかった優だが、忍との事を聞かれているのだとすぐ理解した。

「うん。あの後付き合うことになったんだけど、忍さん暫く忙しいみたいだから、今まで通り電話とメールのやり取りになると思う。」

木曜の夜から金曜の朝まで、バタバタしていた所為で、ゆっくり話す機会が無いまま分かれてしまった。

ただ、金曜の朝に、『これからは、出来るだけ電話かメールをするから』と言ってもらったので、優はそれで十分だった。

それに、男性と付き合ったことが無い自分が、あんなに魅力的な忍とずっと一緒に居たら、ドキドキし過ぎて心臓が壊れてしまうのでは無いかと思った。

抱き合って眠った事を思い出してしまい、体温が急激に上昇してくる。

『だめ、思い出してはダメ！』

真っ赤になって俯いた優を微笑ましく見つめる羽奈。

「良かったわね」

羽奈にそう声をかけられ、俯いたまま頷く。


「えぇ！」

急に奥の席から大きな声がして、二人は声の方を見た。

吉田が『しまった』という顔をしていた。
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