男の秘密
「違うの!告白される前に私の好きな人の話をしたの。だから、か、加藤君は振られてない!」

酒の席での戯言だと流せば良いのに、どうしても流せなかった。

優が大きな声を出して必死に反論したのは初めてだった。

その真剣な表情と言葉にみんながハッとした。

「からかって悪かった」

「いや、いいよ。気にすんな。それより斉藤に彼氏が出来た事の方が嬉しいよ」

加藤はヘラリと笑った。

「!。斉藤さん。彼氏出来たんだ」

その言葉に加藤が「しまった!」という顔をしたが、後のまつり。

みんなが興味心身で質問してくる。

「え!?うん。」

「おめでとう!彼氏の年は?」「職業は?」「何時であったの?」

等々、矢継ぎ早に質問され、体中が暑くなりしどろもどろになってしまった。

「はいはい。優は付き合たてだから、彼氏の事はまだよく分からないことが多いのよ
これから 追々分かって行くから暫く見守ってて」

質問攻めに頭が真っ白になっている優の代わりに、羽奈が悪戯っぽくそう説明すると、すぐ後に加藤がさっきのお詫びにとばかりに別の話題を振り、優の彼氏の話題は終わった。

話題が変わりホッとしたが、緊張が解けるとどっと疲れが出た。

「羽奈、さっきはありがとう。私ちょっとお手洗いに行って来るね」

ヨロヨロと立ち上がり、お手洗いに向かおうとすると、手元のカバンの中で携帯が震えた。
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