男の秘密
忍び寄る影
月曜日に出勤すると、優に彼氏が出来た事が広まっていた。

あまり話さない先輩や後輩の女の子も、興味津々で聞きに来たので、かなり困った。

何とか受け流して仕事を始めるが、落ち着いて仕事が出来なかった。

仕事が余り捗（はかど）らず、少し残業をする事になってしまい、疲れ気味に帰宅した。

『みんな私の事なんて気にならないと思ってたのに・・・』

部屋着に着替え寛いでいると携帯が鳴った。

『非通知・・・とるべき？』

非通知でかかって来る事は稀で、もしかしたら間違い電話ではと思いそのまま放置していると、10数回鳴った後切れた。

ホッとしたのも束の間、また携帯が鳴り出した。

放置しても何度も何度もなるので、気になって電話に出てしまった。

「もしもし？」

「男と別れろ。」

機械の合成音のような独特の高い声と低い声が混ざった声でそう言われた。

「え？」

驚いて声を出したら電話は切られた。

「今のは一体・・・」

いたずら電話のように思えるが、付き合いだして直ぐにかかって来た事を考えると、優に対してかけて来たのだろう。

そう思うと、電話番号を知っている相手と言う事になる。

ゾクリと背筋が寒くなった。

「もしかしたら、偶然の悪戯かも」

そう思う事にしたが、やはり怖いので、非通知の着信を拒否する設定にして、その日は眠りについた。

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