男の秘密
「そう、じゃぁ引き続き宜しくね」

羽奈が誰かと電話しているようなので、勝手に風呂を借り、上がってから借りた事を伝えて今日は休む。

会社が終わってから今までに色々あり過ぎて、凄い時間が経った気がするが、時間で言うなら4時間程度なんだと気づいた。

大きく息をついて目を閉じた。





羽奈は毎朝、始業時間の1時間前に出社して、メールチェックやスケジュールの変更等を行っている。

優も今日は羽奈と一緒に黒峰に送ってもらったので、1時間前に出社していた。

フロアの掃除や水遣りなど、早く来れた時にはやっているが、最近サボり気味だったので今日はきちんとやった。

社内は清掃会社が休みの日に入っているので、そんなに汚れる事は無いのだが、何となくやってしまう。

掃除や観葉植物の水遣りが済んだら、飲み物を買いに行き仕事に取り掛かる。

早く出勤すると、気持ちが良くて仕事も捗る気がする。

コーヒーを飲みながらメールチェックをしていると、変なメールが入っていた。

メールは添付画像も含まれていて、開くのが怖いが、ただの迷惑メールとして削除する分けにもいかない。

羽奈に連絡して対処法を聞くと、羽奈の自宅のアドレスに転送するように言われた。

そして、転送の送信履歴を削除する事と、メールをゴミ箱に入れて更にすぐに削除する事を指示された。

『内容・・・全部見た方が良かった?』

指示通りしてから不安になる。

転送にする為にクリックした際に少し見えたのは、やはりストーカーからのメールで、まだ分かれていないのかという内容が読めた。

他にも書いてあったが、以前の手紙の内容を思い出すと怖くて目も通さずに転送した。

このメールは社外からも送ってくる事があるから、内部の人間だけが知っているアドレスでは無いが、営業でも無い優のメールアドレスはあまり知られていない。

『やっぱり内部の人?』

疑心暗鬼になりそうな気持ちを振り切り、仕事に集中する事で、何も考えないようにした。
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