男の秘密
今朝は羽奈の家から出社したのでお弁当が無く、社食に行くと同期のメンバーが固まって食事をしていた。

『お弁当が無くて良かった』

気持ちが沈んでいる今、一人で食べると更に落ち込みそうだったので、みんなの中に混ざり、話の輪に入れてもらう。

余興の練習のお陰で今までよりみんなと近くなり、気軽に話せるようになった。

今では冗談を言ったり、言われたりも出来るようになり、優自信がその変化に驚いている。

こういう話をしていると、不安な気持ちが和らいでいく。

ホッとしながら食事をしていると急に声をかけられた。

「斉藤さん。その後、彼氏とはどう?」

畑野に急に振られたその一言に優が固まった。

「うーん。最近会ってないの」

「え?!何?もう喧嘩したの?!」

大きな声で、みんなが一斉にこっちを見た。

畑田は慌てて声のトーンを下げて優に謝る。

「喧嘩じゃないわ・・。向こうが忙しくて会えないの」

「浮気じゃないよね」

「違うわ!。仕事よ」

うそでも浮気という言葉を聞くと、胸がズキリと痛み、つい向きになって言い返してしまった。

旨くいっているのか、いないのか、分からないように話すといいと羽奈からアドバイスを貰ったのに、うまく言ってるとアピールしているような言葉にしまったと思った。

仲が良いと社内に広まれば、ストーカーが何を仕掛けてくるか分からないので、今はお茶を濁すような内容にしている。

『大丈夫かしら・・・』

自分の言動で回りに迷惑がかかるかもしれないと思うと、不安になった。

「ゴメンネ。不安になる事言って。大丈夫だよ!」

優の浮かない表情を誤解して、畑野が気を使った発言をする。

『いつもで続くのかしら・・・』

犯人は何時特定出来るのか、ストーカー行為は無くなるのか、犯人は誰なのか。

気にはなるが、どうしたら良いのか分からないから、羽奈に任せっきりにしてしまっている。

『何か私に出来る事は無いのかしら・・・』

「斉藤さん!」

「え?」

「もうお昼休み終わっちゃうよ」

「やだ、ボーっとしてたわ」

呼ばれて始めて、みんながトレイを持って立ち上がっているのに気付き、食べかけだが慌てて立ち上がる。

その姿を加藤がチラリと見ていた事に気付いたが、気付かないふりをした。

『心配かけないようにしないと』
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