男の秘密
少し落ち着いついた頃、忍が話を始めた。

「俺は優に・・・」

話を続けようとした時、玄関のドアが開き慌てた様子の木戸が入って来た。

「木戸さん?」

木戸の顔を見て優が慌てて忍の腕から抜け出た。

「迎えに来た。すぐ用意してくれ」

「遅れるって言ったでしょ!」

「無理だと言っただろ」

二人の間に険悪な雰囲気が漂う中、優はどうしたらいいのか困って二人を交互に見た。

「もう少ししたら行くから」

「もう、時間がねぇ。優、悪いが送っていくから帰ってくれ」

「木戸さん!」

「忍さん、お仕事が入ってるの?私は歩いて帰れるし、お仕事に行って」

状況を判断すると、仕事が入っているのに、自分を優先させて時間を引き延ばしていたようだ。

自分の為に忍の立場が悪くなる訳にはいかない。

「優」

「忍さん、昨日はありがとう。」

そう言って、立ち上がり帰り支度を始める。
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