男の秘密
『だ、ダメだ、斎賀さんが居たら、落ち着けない』


「も、もうすぐ出来るんで、向こうの部屋で待ってて下さい!」

ちょっと強い響きになったが、これ以上傍にいられるとどうにかなってしまいそうなので仕方ない。

優の言葉に軽く驚いた表情をしたが、飲んでいたコップを流しに置いてその場を立ち去る。

『はぁぁ。 どうしちゃったんだろう』

こんなに動揺した事が今までに無い。

『きっと、イケメン過ぎるからダメなのよ。気にしない。気にしない』

さっきから呪文のように落ち着けだの気にするなだのと唱えている。
こんな事で落ち着けるのかは甚だ疑問だが、とにかく深呼吸をして忍の事を頭の中から追いやる。

とにかく、料理に専念しているうちに気持ちが落ち着いた。

『斎賀さんの事は犬だと思おう!』

忍の姿を思い出す。

『背が高くて大きいから・・・大型犬・・・ゴールデンかラブ・・・ううん。何かイマイチイメージが』

背は高いが可愛らしい顔と言うよりは精悍な顔でキリリとしている。

『シェパード? ボルゾイ・・・じゃぁ無いか。 やっぱりシェパードかな』

妙に納得して頷く。


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